2015年4月17日金曜日

妨害行為を一言でやめさせた話

 某事務所での話し。

 データベースで受任案件の管理をしていた事務所があった。

 これを導入し、管理したのがHという男。

 予算が出なかったため、データベースソフトを使って作ったとのことだ。

 諸事情から、データの訂正削除が誰でも行えるようにせざるを得なかったらしい。

 そこである時期、データが頻繁に消えるという事態が生じた。

 Hは事前にシミュレーションを繰り返しており、その結果と照らして誰かが消していると怪しんだ。

 データ防御の策は講じていたので消された分は回復できたが、頻繁に報告されることで面倒になってきたという。

 Hには犯人のめぼしがついていた。Hと不仲のCという中年の女であった。

 Hは同僚Sに、Cが怪しいので注意しておいてほしいと頼んだ。

 その後、Cがパソコンを操作する際Sと他数名のうち、誰かがその後ろを通りがかるようになった。

 そんな行動が始まって数日間、データの消失はなくなった。

 その時期、Cはプライベートで参加している掲示板に、何か仕事場で監視されているような気がするといった趣旨の書き込みをしていたらしい。

 ただ、これによりCが犯人であると確定したわけでもなく、そのような防御策を続けることで、仕事に支障が出ては意味がない。

 Hはデータ削除の制限を設けたが、諸事情から訂正に制限を加えることができなかったので、新たな策を仲間に相談した。

 そして指南を受けたある策を翌日実行した。

 全員を前に

 「このデータベースの操作に関しては、誰がいつどういう操作を行ったかわかるようになっている」

 と言った。

 そして、その日以降、データ消失は発生しなくなったとのことだ。