2016年3月17日木曜日

別府市、中津市がパチンコを理由に生活保護停止の措置を撤回するとのこと

大分県の別府市・中津市は、生活保護受給者がパチンコをしていることが判明したら、その一部を停止する措置をとってきていた。

これに対し、厚生労働省と大分県が是正要求をしていた。理由は「法的根拠がない」と。

これを受けて、両市は来年度から停止措置を行わない方針であるとのことだ。

ネットで意見を見る限り、厚生労働省や大分県のほうがおかしいのではないかと考えている意見が多数のようだ。

私も同意見だ。

生活保護法は4条1項で「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と書かれている。パチンコをすることが最低限の生活維持だというのなら、遊興費の不足を理由に生活保護を申請することも認めるべきだ。

ただ、国や県が是正を求めているのは停止措置をすることにあって、生活保護受給者のかかる態度を善しとしているわけではないことは予想できる。

では、本当に停止はできないのか?



生活保護法を読んでみたところ、27条で市町村は受給者に対し必要な指導や指示をすることができるようだ。
第二十七条  保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2  前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3  第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

受給者(被保護者)は、その指導・指示に従わなければならない義務があることと、保護実施機関は被保護者がその義務に違反したときには保護を停止することも可能であることが62条に書かれている。
第六十二条  被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託して保護を行うことを決定したとき、又は第二十七条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
2  保護施設を利用する被保護者は、第四十六条の規定により定められたその保護施設の管理規程に従わなければならない。
3  保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
4  保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。
5  第三項の規定による処分については、行政手続法第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
但し、そのためには弁明の機会を与えるなど手続がある。

ちゃんと手順をこなせばできるのではないだろうか?
今回の是正要求は、このような手続を大幅に省略していたということかもしれない。